両親から上手に愛情を与えてもらえなかった人は、ある二面性を抱えたまま大人になることが多いと思う。
特に、体や心が弱くて心配が多かったり、放任主義だったり、甘えが許されない厳しい親だったり。
事情があって幼いうちに両親を失ってしまったという場合も当てはまると思う。
そういう子供は、愛情が欲しい時に欲しいと言えない。
欲しいと言ったら怒られるから。
欲しいと言ったら困らせるから。
欲しいと言ったら悲しませるから。
だから、いつしか愛情をもらうことを諦めてしまう。
諦めた子供は自立を覚える。
生きていくために。
場合によっては、両親を助けるために。
そして、甘えたい・愛されたい “子供の私” は、心の深い深い場所に閉じ込められる。
出てくると苦しいから、頑丈な鍵をかけて見えないようにする。
そして、”大人の私” の仮面を付けて、自立ばかりを育て、大人になる。
だけど、心の中には鍵をかけた ”子供の私” がいつまでもいる。
それは決して消えることはない。
だから、 いくら “大人の私” を取り繕ったとしても、愛がほしいと泣いている子供が、ドンドンとドアを叩く。
気付いてよ気付いてよ。
愛してよ愛してよ。
そんな風に泣いているに違いない。
“大人の私” “子供の私”
二つの自分を抱えたまま大人になる。
“子供の私” を否定し続けていくほど、どんどん自分が二つに分かれていく。
自分がわからなくなっていく。
そして、否定された “子供の私” がどんどん問題をつくり出していく。
二つの自分を抱えた ”私” が救われる方法はただひとつ。
“大人の私” と “子供の私” が繋がること。
鍵を開けて “子供の私” を救ってあげること。
鍵を開けるのはとても怖い。あの頃に戻ってしまうから。
あの時に感じた感情を感じてしまうから。
だけど本当はそうじゃない。
今は偽りの大人なんかじゃない。本当の “大人の私” 。
本当の “大人の私” は、あの頃の “子供の私” に飲み込まれることはない。
本当の “大人の私” は変わらない。
だからあの頃には戻らない。
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